類聚方広義・第二木曜会  2008・6・12

●今日は十頁後半の桂枝加厚朴杏子湯から、十一頁後半の烏頭桂枝湯までの二つの処方を読みました。
桂枝加厚朴杏子湯より

十頁後半 
標註                                       類聚方




本より喘症あり。之を喘家と謂う。喘家にて桂枝湯の症を見わす者は、此の方を以って汗を発すれば則ち癒ゆ。若し喘し邪に因って其の勢い急し、邪は喘に乗じて其の威の盛んなる者は、此の方を得て治する所に非ざるなり。宜しく他の方を参考にし、以って
桂枝加厚朴杏子湯 
桂枝湯証にして、胸満し微しく喘する者を治す。
桂枝湯方内に於いて、厚朴二両、杏子五十個を加う。
桂枝 芍薬 大棗 生姜 各六分 甘草 厚朴 杏子 各四分 
右七味、煮るに桂枝湯の如くす。

○喘家は、桂枝湯を作るに、厚朴杏子を加うるに佳、
○「太陽病、之を下し、」微しく喘する者、「表の未だ解せざるが故なり。」
頁後半解説

標註                                       類聚方
「見」を読む時には状況を判断して、@みる=見る、Aまみゆる=会う、Bあらわす=現わす、とします。ここではBの読み方です。
喘息でも予防的に使う場合は此の処方でもいいようですが、ひどい時には効果がないから他の処方で対応するようにと言っています。
喘家とは喘息持ちのこと、


十一頁前半
標註                                       類聚方
治を施すべし。拘拘するべからず。

陶弘景の曰く。附子烏頭若干枚、皮を去りおわり、半両を一枚に準ず。古人の用う所の烏附は、皆野生にて、培植の品に非ず。故に然り、今一枚を以って一両に準じ、分量に注す。
按ずるに、後は、千金には許に作る。是なり。
知るを以って度と為すは、霊枢の客邪篇に見ゆる。揚子方言に曰く。知は、癒ゆるなり。此の條は、知るに瞑眩を謂うなり。
按ずるに、身疼痛は、千金に一身悉く痛むに作る。抵当の二字無し。倶に是なり。
為則按ずるに、当に胸満の證有るべし。

烏頭桂枝湯
腹中絞痛し、手足逆冷、或いは不仁、或いは身疼痛する者を治す。
烏頭五枚
右一味、蜜二斤を以って、煎じて半に減ず。滓を去り、桂枝湯五合を以って、之を解く。一升を得て後、初め二合を服す。知らずんば、則ち三合を服す。又知らずんば、復加うるに五合に至る。其の知るは酔状の如く、吐を得るは、病に中ると為す。
十一頁前半解説
標註                                         類聚方
陶弘景は西暦456〜536年の人で神農本草経の再編をした人、 トリカブトの主根を烏頭、来年に芽を出す側根を附子、附子を持たない主根を天雄と区別します。効能の強さは天雄>烏頭>附子とされています。


十一頁後半
標註                                       類聚方
寒疝は、臍を繞って痛み、上っては心胸に連なり、下っては陰嚢に控え、苦楚忍ぶべからず。手足逆冷し、冷汗流れるが如きは、此の方に非ずんば、救う能わざるなり。
○疝は、水毒なり。其の発するの多くは外感より来る。然れども或いはオ血を兼ねて作す者有り。或いは虫を挟みて動じる者有り。或いは宿食に因って発する者有り。處療の際、宜しく甄弁し手を下すべし。
○東洞先生の曰く、煎法は大烏頭煎の法に従うべし。然れども余は毎に本論の煎法に従う。唯分量服度は、意を以って裁酌するのみ。

此の方に朮を加え、桂枝加朮
○「寒疝、」腹中痛み、逆冷し、手足不仁、若しくは身疼痛し、灸刺諸薬、治す能わざるに、抵当此の方を用う。
為則按ずるに、是れ烏頭煎に、桂枝湯を合する方なり。当に烏頭煎方の下に列すべし。今之を桂枝加附子湯に列すは、其の異なりを示すなり。又按ずるに、煎法は、大烏頭煎の法に依るべし。
烏頭三銭、右一味、蜜一合二勺を以って、煎じて半に減じ、桂枝湯六勺を以って、之を和解す。六勺を服す。知らずんば更に六勺を服す。

桂枝加附子湯
桂枝湯證にして、悪寒し、或いは支

十一頁後半解説
標註                                       類聚方
甄はケンと読み調べて区別するという意味。 抵当の意味が色々と論じられています。@丁度当ると曰う意味、A抵して当に此の方を用うべしとも読める。B抵当は蛭=ヒルの別名であるという意味があります。






唐厚朴

モクレン科 カラホウの樹皮

効能:通便、整腸、理気作用。腹満し痛む時や筋肉の痙攣、緊張を緩めます。その他、嘔吐、咳、消化不良に用いられます。


唐厚朴

杏仁=杏子

バラ科、アンズ=杏の種子

効能:大陸で古くから薬用に用いられた記録があります。青酸配糖体のアミグダリンが含まれますが空気に触れると青酸とベンズアルデヒド・ブドウ糖になり中毒を起こします。適量使用することで咳を止め便通をよくします。杏仁は肺経・大腸経の水毒を除くとも言われています。果実は酸っぱさがありあまり美味しくはありません。


杏仁=杏子

烏頭、附子

効能:キンポウゲ科 トリカブト属の根。成分はアコニチン、メサコニチン、ヒゲナミンなど、アコニチンとメサコニチンは鎮痛作用。ヒゲナミンは強心作用があります。定量を越し摂取しますと痺れや嘔吐、よだれ、運動麻痺、呼吸困難、拍動異常が起こり死亡します。適量使用することで鎮痛、温熱効果があり代謝を促進します。



烏頭・附子など

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