類聚方広義・第二木曜会  2008・2・14

今日は類聚方広義三頁後半、第15条から始まりました。桂枝湯を最後まで読みきりたいと思います。
四頁
標註                                        類聚方
中了了たらず、晴和せず。大便難く、身微熱する者は、大承気湯を与うと、其の義略同じ。
○傷寒、発汗して解するに半日許りにして、復煩す。脈浮数の者は、邪気未だ全除せず。死灰の将に再燃せんとすべきなり。麻黄湯を用いるべきに似て、今桂枝湯を用いるは、発汗の後を以ってなり。
○傷寒、医之を下し、続いて下痢を得て、清穀止まず、身疼痛する者は、此れ下すべからざるにして之を下し、以って危急に至らしめる者なり。故に先ず四逆湯を以って、其の危急を救い、後に桂枝湯を以って発汗すれば、則ち身疼痛随って癒ゆ。雉間子柄の云うに、清穀止まずとも、身疼痛未だ癒えざる者、猶四逆湯に宜しく、

桂枝湯症に非ずと。是れは特だに処療の方を知らずのみならず、又二方の主治を知らざるなり。
○傷寒、大いに下した後云々、心下痞の下、疑うに頭痛発熱身疼痛など一二症脱す。しからずんば附子瀉心湯症と、差別無きに似る。
○陽明病、脈遅云々、按ずるに陽明編の小承気湯條は、微悪寒を、微発熱悪寒に作る。是なり。
○病人煩熱云々、此の症の脈は浮虚と雖も、恐らく桂枝二麻黄一湯を用うを、佳と為す。
○下痢、腹脹満、身体疼痛する者は、先ず四逆湯を用う。則ち下痢止みて、腹満自ずから和す。而して後に桂枝湯を以って発汗すれば、則ち
 ○「傷寒、医之を下し続いて下痢を得て、清穀止まず、身疼痛する 者は、急いで当に裏を救うべし。」後に身疼痛し、清便自ずから調う者 は、「急いで当に表を救うべし。裏を救うには」四逆湯宜し。「表を救う には」桂枝湯に宜し。
 ○「太陽病、」発熱汗出ず者、此れ栄弱く衛強きと為す。故に汗を出  で使むる。邪風を救わんと欲すには、
 ○「傷寒、」大いに下した後、復発汗し、心下痞し悪寒する者、「表」未 だ解せざるなり。痞を攻むべからず。「当に先ず表を解すべし。表解し 及ち痞を攻むべし。表を解すには」桂枝湯に宜し。痞を攻むには大黄 黄連瀉心湯に宜し。
 ○「陽明病、」脈遅く汗出ずる


 こと多く、微悪寒の者は、表未だ解せざるなり。汗を発すべし。
 ○病人煩熱、汗出れば則ち解す。「又瘧状の如く、」日ポに発熱する  所の者は、「陽明に属するなり。脈実の者は、宜しく之を下すべし。脈 浮虚の者は、宜しく汗を発すべし。之を下すには大承気湯を与う。汗 を発すには」桂枝湯に宜し。
 ○「太陰病、脈浮の者は、汗を発すべし。」
 ○下痢、腹脹満し、身体疼痛する者は、「先ず其の裏を温め、及ち其 の表を攻む。裏を温むに」四逆湯。「表を攻むに」桂枝湯。
 ○吐利止みて身痛むこと、休まざる者は、当に消息して其の外を和  解すべし。」宜しく桂枝湯にて小し之を和すべし。
 ○下痢の後、

四頁解説

標註                                       類聚方

了了というのははっきりしないこと。「晴」とは黒眼のこと。
N条については大承気湯の条文の中によく似た状況として記載されているということ。
桂枝湯の用い方について雉間子柄の類聚方集覧を非難しています。

附子瀉心湯は大黄、黄連、黄ゴン、附子。傷寒論の条文は「心下痞、而復悪寒、汗出者。」です。
「医」とか「反」の字が条文の頭に来た時には原則として誤治療をした時と判断します。
「後」という字が動詞の後に来た時には前の症状はすでに無くなっていると解釈します。

日ポ所と読んでもいいのですが日ポは夕方のこと、所という字を続けて読むより上記のように読むのを妥当とします。
五頁
標註                                       類聚方
身疼は脱然と去るや。是れ則ち治法の権宜なり。以下の二章も義同じ。子柄の云うに、下痢腹脹満以下の三條は、皆桂枝湯に非ずと。子柄の医事を解せざるは、毎毎此の如し。
金匱要略、陽旦湯の小註に曰く。則ち桂枝湯なりと。千金陽旦湯も亦桂枝湯なりと。成無巳曰く。陽旦は、桂枝の別名なりと。



奔豚の説は、古来紛紛たり。然れども率ね皆五臓の配当の説にして、影
 身疼痛し、清便自ずから調う者は、「急いで表を救うべし。」宜しく桂枝 湯にて汗を発すべし。
 ○「師の曰く、婦人平脈を得て、陰脈小弱にて、其の人食する能わず 。寒熱無しを、妊娠と名づく。桂枝湯之を主る。法に於いて六十日、当 に此の證有るべし。設し医治に逆有りて、卻って一月吐下を加う れ ば則ち之を絶す。 」
 ○「産後中風。」続いて之数十日解せず。頭微しく痛み悪寒し時々熱 有り。心下悶、乾嘔し汗出ず。久しきと雖も「陽旦」證は続いて在るの み。
桂枝加桂枝湯

 桂枝湯證にして、上衝劇しき者を治す。
を捉え風を捕えるの論のみ。


五頁解説

標註                                       類聚方

「権宜」とは時と場合によって適切に処置すると言う意味。
雉間子柄に対する二度目の非難が書かれています。

「師の曰く」で始まる26条は金匱要略・婦人妊娠病編に出てきます問答体です。「陰脈」の説ははっきりしません。妊娠は病気ではありませんので現象として捕えています。「卻って」とは遡ってという意味ですから妊娠して二ヶ月目の頃に「吐下」を強いたときにはという意味です。その時には「之を絶つ」と有りますが「之」の古字は「生」の古字とよく似ていて書き写し間違えたのだろうというのが荒木正胤氏の論説です。大塚敬節先生はここを荒木正胤氏の意見として取り上げています。


●先月の勉強会で桂枝湯の標註に魏志華陀伝(三国志巻二十九=魏書二十九 方技伝第二十九)が引用されていました。狩野充徳先生が本文をコピーして下さいましたので和訳と合わせ掲載いたします。
本文↓
和訳↓

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