類聚方広義・第二木曜会 2008・12・10
●12月10日は二十頁後半から、二十一頁前半の小建中湯を読みました。
熱多く寒少なし云々は、癒えんと欲す為りやと云うに、而して又面色反って熱色有る者、未だ解すを欲せざるや云々と云う。前後矛盾し宜しく刪去すべし。 宋板、甘草二両に作る。今之に従う。 悸は説文に曰く、心動なり。活人書に曰く。悸気は、動悸也。 虚労裏急云々、此の症に余毎に黄耆建中湯を用う。其の効は小建中湯に勝る。学者之を試せ。 |
此れ陰陽倶に虚し、更に発汗し更に下し更に吐すべからざるなり。」面色反って熱色ある者は、未だ解すを欲せざるなり。其れ少し汗を出すを得る能わざるを以って、身必ず痒し、 小建中湯 裏急し、腹皮拘急し、及び急痛する者を治す。 桂枝 生姜 各三両 大棗 十二枚 各四分五厘 甘草 三両 三分 芍薬 六両 九分 膠飴 一升 四銭 右六味、水七升を以って、煮て三升を取る。滓を去り、膠飴を内れ、更に微火に上げ、消解し、一升を温服す。 水一合四勺を以って、煮て六勺を取り、滓を去り、 |
二十頁後半解説
標註 類聚方
膠飴は麦芽デンプンで作られた飴を良品とします。 |
標註 類聚方二十一頁前半
○裏痛は、腹裏拘急を謂うなり。病源、虚労裏急の候、外臺、虚労裏急篇、併せ考えるべし。 ○サンは、痛むなり。素問骨空論に、脛サンの語有り。 ○金匱要略、黄疸病篇に曰く、男子黄、小便不利は、当に虚労小建中湯を与うべしと、按ずるに、小便自利不利とは、其の常を失するに至るは、則ち同じ。桂枝加黄耆湯症に曰く、黄汗云々、小便不利と、是に因って之を観るに、虚労小建中湯は、疑うに黄耆建中湯を謂うなり。又按ずるに、深師、黄耆建中湯症に曰く、虚労云々小便多くと、必効方、黄耆建中湯症に曰く、小 |
膠飴を内れ消せしめ服す。 日に三服す。「嘔家の建中湯を用うべからざるは、甘きを以っての故なり。」 「傷寒、陽脈渋、陰脈弦、法当に、」腹中急痛す者は、先ず小建中湯を与え、差えざる者は、小柴胡湯を与え之主る。 「傷寒二三日、」心中悸して煩する者、 「虚労、」裏急、悸衄、腹中痛み、夢に失精、四肢サン痛、手足煩熱、咽乾口燥、 「男子、」黄、小便不利、 「婦人、」腹中痛、 |
二十一頁前半解説
標註 類聚方
陽の脈、陰の脈と出てきます。寸口の脈を陽の脈、尺中の脈を陰の脈とする説がありますが、大塚先生は経験から陽は軽く陰は強く抑えて感じる脈の状態だろうと言われました。 衄とは鼻血の出ること |
二十一頁後半
標註 類聚方
便数と、曰く多く、曰く数と、是れ亦常を失する者にて、益に以って徴するに足るや。故に余は黄耆建中湯を用うなり。又按ずるに、本草綱目、黄耆部、総微論を引くに、小便不通を治す方に、綿黄耆二銭、水二盞(さん)を、一盞に煎じ、温服すと。 千金、外臺、倶に黄耆三両に作る。今之に従う。 ○此の方に、当帰を加え、耆帰建中湯と名づけ、諸瘍、膿潰の後、荏苒癒えず、虚羸煩熱自汗盗汗し、稀膿止まず、新肉長せず者、若し悪寒下利し、四肢冷たき者は、更に附子を加う。又痘瘡、淡白にて |
為則按ずるに、腹中拘急の證有るべし。其の方芍薬甘草湯に類するなり。 黄耆建中湯 小建中湯證にして、而して盗汗自汗の者を治す。 小建中湯方内に於いて、黄耆一両半を加う。 桂枝 生姜 大棗 各四分五厘 甘草 三分 芍薬 九分 黄耆 四分五厘 膠飴 四銭 右七味、煮ること小建中湯の如し。 |
二十一頁後半解説
標註 類聚方
余談!
●膠飴は昔から品質が問われてきました。膠飴の代用とされた水飴はジャガイモデンプンを糖化させたもので温性が弱いとされます。戦前戦後の ものがない時代、グリコの飴を小建中湯に使用する漢方家がいました。
薬用の麦芽デンプンの入った膠飴
●標註から尾台榕堂先生は小建中湯を使う場合は黄耆を入れた黄耆建中湯にしていたようです。
●小建中湯でだめなら小柴胡湯で!という内容ですが兄弟子がそれなら初めから柴胡桂枝湯ではだめでしょうか?との質問がありました。
●メモ書きで腹痛の場所を小建中湯と人参湯で比較したものがありました。恐らく大塚先生が話されたことだと思いますので載せてみましょう。