類聚方広義・第二木曜会  2008・1・10

今日は類聚方広義二頁前半の終わり、第4条から始まりました。読み下しは前回に二頁をしていますので今回はすこし類聚方に出てくる条文の解説をして三頁から読み下してゆきましょう。

○類聚方解説 
類聚方広義では桂枝湯の条文が27条出てきます。1〜9条までは傷寒論太陽病上編です。
1条では急性熱病で軽い中風にかかりその時の症状の説明、
2条では正証が書かれています。
3条では初期に下剤をかけてしまったこと、
4条ではすこし病状が進行し発汗や吐方、下す方法を経て壊病になった場合、
5条は脈が浮いていても緊張している時には使ってはいけないこと、
6条は平素酒を飲む人が桂枝湯を飲むと吐き気がすること、
7条は肺壊疽の患者に桂枝湯を飲ますと血膿を吐くこと、
8条は急性熱病で桂枝湯を飲ましても気分が悪くなる人に鍼をする方法、
9条は白虎加人参湯とよく似た症候があることなど、その応用や使用注意などに触れています。
10〜18条まで太陽病中編に出てきます。
10、11、12条は小青龍湯の直後の条文に出てきて咳=呼吸疾患に触れ表からやや病邪が内側=外に入り込んだ時の注意をしています。
13〜16条は太陽中編で継続した条文です。
13、14条は栄・衛の説明をし、麻黄湯の条文を挟み15条では麻黄湯で鼻血=衄血の出る状態と区別すること、
16条では麻黄湯は発汗する力が強いけれど桂枝湯でも発汗することがあると書いています。
17〜18条も太陽病中編です。
17条は中編後半で病邪が進行し陽明病の処置を誤って陰病になった場合の桂枝湯での救済策、
18条では発熱後に自汗して栄衛の調和が乱れた場合にも桂枝湯を使うことが書かれてあります。
19条は太陽病下編の条文で病勢が少陽病〜陽明病の範囲の裏部まで進んだけれど桂枝湯で救える場合があること、そして心下の痞える状態があっても表症があるときには桂枝湯から先に使い後に心下痞を治すこと=先表後裏の原則について書いています。
20条は陽明病編に出てきますが陽明病期の症状のとらえ方が紛らわしいことについて書かれてあります。脈が遅い場合にも寒気がして汗が出る時には桂枝湯を用いること、
21条は陽明病期であって夕方に発熱がある場合でも脈が浮いて弱ければ桂枝湯を用いる事が書かれてあります。
22条からは陰病になります。22条は太陰病編です。太陰病編は傷寒論の中では非常に短く15の条文しか出てきません。処方も桂枝湯・四逆湯
の類・桂枝加芍薬湯・桂枝加芍薬大黄湯が出てきます。太陰病で脈が浮いていれば桂枝湯を用います。
23条は厥陰病編に出てきます。急な症状の場合には先に急なものから治すようにと先急後緩の方法が書かれています。
24条は霍乱病編の理中丸の後で下痢の後、身体が痛む時、
25条は可発汗病編のやはり下痢の後で身体が痛む時です。
26条は金匱要略の婦人妊娠病編で妊娠した時に桂枝湯を服用する場合について、
27条も金匱要略の婦人産後病編で桂枝湯を使う場合のことが記載されています。
三頁
標註                                        類聚方
錯誤にて此こに入るなり。当に之を刪去すべし。若し形以下は、宜しく前章を、桂枝湯を与うれば則ち癒ゆの句の下に接して、以って一章と為すべし。
太陽病、外症未だ解せず云々、の二章は、是れ已に発汗を経て、大勢已に解すに、而して頭痛し発熱、悪風等の症は、未だ全癒せず。脈も亦浮弱、故に外症未だ解せず。更に桂枝湯を用いる所以なり。東洞先生の之を域するは、其の辭を悪むなり。編中に此の類は枚挙するに勝へず。是れは斯の書の体例なり。学者之を思え。




蔵に他病無くの、蔵は、その蔵に寒有り、及び蔵厥の義と同じ。皆腹中を謂うなり。魏志の華陀伝に曰く。彭城の樊阿は陀に従い学ぶ。阿は鍼術を善くす。凡そ医の咸言に、背及び胸臓の間には、妄りに鍼するべからず。之に鍼するに四五分を過ぎず。而して阿は背に鍼するに一二寸、巨闕胸臓には五六寸、而して病皆癒ゆ。以って徴すべきや。
○頭痛熱有りの下には、千金翼に小便赤の三字有り。小便の下に、外臺秘要には反有り。倶に是なり。承気湯は、大承気湯なり。大承気湯にて一たび下し、以って裏熱の壅滞を疏蕩すれば、則ち頭痛身熱即ち解す。傷寒六七日、目
大いに汗出で、脈洪大の者は、桂枝湯を与えるに前法の如くす。「若し形瘧の如くにして、」日に再発する者は、汗出れば必ず解す。桂枝二麻黄一湯に宜し。
I「太陽病、外證未だ解せず、脈浮弱の者は、当に汗を以って解すべし、」
J「太陽病、外證未だ解せざる者は、下すべからざるなり。これを下すを逆となす。外を解さんと欲する者は、」
K「太陽病、先ず発汗し解せず。而して復之を下す。脈浮なる者は癒えず。浮は外に在るとなす。而して反って之を下す。故に癒えざらしむる。今脈は浮なるが故に外に在るを知る。当に須(すべか)らず外を解すべくんば則ち癒ゆ、」
L「病常に自汗出ず者は此れ栄気和すと為す。栄気

和す者にて、外諧わず。衛気と栄気と共に和諧せざるを以っての故のみ。栄は脈中を行き、衛は脈外を行くを以って、復其の汗を発す。栄衛和すれば則ち癒える、」
M病人の「蔵に」他病無く、時に発熱し、自汗出で而して癒える者は、此れ衛気和せざるなり。其の時に先んじて、汗を発すれば則ち癒える。
N「傷寒、」大便せざること六七日、頭痛し熱有る者は、承気湯を与える。其の小便清なる者は、知るに裏に在らず。仍ほ表に在るなり。当に須(すべか)らず汗を発すべし。若し頭痛する者は必ず衄す。桂枝湯に宜し。
O「傷寒、」発汗し解すること半日許りにして、復煩す。脈浮数の者は、更に発汗すべし、


三頁解説

標註                                       類聚方

H条の白虎加人参湯の条文が間違って入っているので削りましょうというのは尾台先生の意見です。大塚敬節先生はこの意見に反対です。
外症と表症との区別が難しいところです。
東洞先生が不要として「」で域している所はあまりに多いようです。

彭城とは江蘇省銅山県のこと、
壅滞(ようたい)の壅は、ふさがったという意味です。疏蕩(そとう)の蕩は、とろけさすという意味です。
瘧という病気はマラリアの状態で熱と寒気が交互に来る病状とされています。



栄衛の事について説明されていますが後人の付け加えの条文とされています。
L〜O条文は太陽病中編のなかで継続して書かれています。


ホーム