日本の夏の暑さは、ハイビスカスのような熱帯産の花木でも、決して快適な気候とはいえません。
 そのため、本来なら多年草であるビオラやクリサンセマムなど温帯原産の暑さに弱い植物の多くは、1年草として育てられています。シクラメンやブリムラ、フクシアなどの鉢花も同じで、夏の暑さで株が弱り、枯れてしまうことが少なくありません。
 そこで、夏の手入れの第一は、できるだけ通風のよい涼しい場所を見つけて管理をすることです。
 暑さに強い熱帯産の草花や鉾花は、日当たりのよい場所に置きますが、西日の当たる場所は避けたほうが無難です。暑さが苦手な植物は、木陰などで強い日ぎしを避けるか、ヨシズや寒冷紗などによって遮光することで、温度を下げ、少しでも涼しく保つくふうが必要です。また、高温と強い直射日光で、株を弱らせ、葉焼けなどの被害を受けないようにすることも大切です。
 


 株を弱らせない管理

  真夏の管理では、株を弱らせないようにすることを優先することが大切で、肥料やりや水やりには十分な注意が必要です。
 とくに肥料は、やり方によっては株を弱らせ、枯らしてしまう原因になります。そのため、暑さに強く、真夏の高温下でも旺盛に生育し、花を次々と咲かせる植物だけに限り、それも、やや薄めの液肥を与える程度にします。
 暑さに弱く、夏バテを起こしているような草花や鉢花には、肥料は絶対に与えてはいけません。

 水やりも同様で、旺盛に生育を続けている植物には、用土の表面が乾いたら、できるだけ早朝の涼しい間に,たっぷりと水やりをするようにします。
 午後からの水やり、とくに日中の水やりは絶対に避け、乾燥しているようであれば、周辺に打ち水をするか、直射日光が当たっていない場合には、葉水などをしてもよいでしょう。
 夕方には、鉢土の表面が乾いているような水やりが理想的で、葉水をするか、軽く水やりをして鉢土の表面を湿らせるようにしておきます。
 暑さで弱っている鉢花や草花は、根も弱っていることが多く、根から十分に吸水ができないため、鉢土が湿っているのにもかかわらず、しおれたような症状を見せたり、下葉を落としたりすることがよくあります。
 与える水の量が多すぎると、一層被害がひどくなるので、水やりはやや控え、用土をできるだけ乾かし気味に保つようにし、株をできるだけ弱らせないようにして夏越しをさせることが大切です。
 植え替えや株分けなどの作業も,当然やらないのが基本で、弱っている株を植え替えると、一層株を弱らせることになるので、必要以上に株に負担をかけないように管理することを考えてください。



 土の病虫害について

 真夏の高温期には、ハダニなどの病気や害虫の被害を受けやすい時期でもあります。
とくに、株が暑さで弱っているような場合には、被害が一層ひどくなるので、早めに薬剤散布などをして駆除をすることが大切です。さらに、葉水などをこまめに与えて乾燥を防ぐとともに、株をできるだけ弱らせないようにします。
 薬剤散布をするときには、薬剤によっては、高温時に使用すると、薬害を起こして葉や茎に被害を与えるものがあるので使用法をよく確かめましょう。




 植物が生育できるのは、同化作用で蓄積した養分が、呼吸などで消耗されるものより多い状態のときです。
植物の年育適温が20℃前後というのは、このあたりで同化作用が順調に行われ、消耗が少ないということでもあるわけです。養分の消耗は、温度の高さに比例するように多くなります。
 しかも、一定以上高温になると、同化作用は低下するのですから、その養分の消耗は高温になるほど、いっそうひどくなります。
 そうした場合の対策は、以下のとおりです。

 日よけ

 日除け これで強光線と高温をやわらげてやります。植物の生育には、5万ルクスもあれば十分とされています。
ところが、わが国の夏について見ると、10万ルクスをはるかに超えるほどの強い光線が降りそそいでいるのです。そこで、この光線を1/2くらいさえぎるよしずや寒冷紗などを張ってやるのです。こうすると、光がやわらぐだけでなく、温度も低くなり、元気に育つことになります。


 打ち水 

  日中の水やりは禁物とされています。特に植物体に水がかかるのは、よいことではありません。午前中または日が西に傾いてから行うのですが、特に夕方の水やりはよいようです。夕方に水をやりますと、水分の補給だけでなく、温度を下げるのにも役立つようです。植物も夏バテをするのですが、特に夜の温度が高いと起こりやすいのです。夜の温度をできるだけ下げて、体力を回復させてやりましょう。


 移植

  容器で栽培しているものでは、根詰まりになっていると、夏バテがひどくなります。容器栽培の場合、根はまず下に伸び、鉢底に当たると,次に鉢の周囲をぐるぐる回ります。容器の中いっばいに土が入っていても、容器は周辺が通気、水はけのよい部分だからでしょう。ところが、通気、水はけがよいということは、よく乾燥することにつながります。しかも、この部分は新しい根、つまり養水分吸収の主役であり、保護組織が発達していない状態の根です。これが高温、乾燥に水やり不足となると、ひどいしおれから,枯死につながるのです。