
病気や害虫は、弱った植物にとりつきやすいものです。病虫害の防除を、植物の健康状態の維持増進と、被害にあった場合の処置に分けて考えてみましょう。
環境づくり
植物の環境でも、清潔が肝心です。病気の葉や不潔なものを植物のそばに残しておくことは、病虫害の応援をしているようなものです。植物の体力づくりは、葉での同化作用にかかっています。そのためには、十分な日光が必要で、できれば1日4時間以上は日が当たる場所に置くように心がけます。
植物の生育適温はふつう11〜20℃ですから、20℃前後を目安にします。5℃以下では、高温を好む植物(観葉植物やランなど)は実、害を受ける危険性があります。30℃以上になると、同化作用で蓄積する養分よりも、呼吸や蒸散などによる消耗が上まわり衰弱します。
昼夜の温度差は、昼間より夜が5℃くらい低くなる状態がよいようです。特に高温季の夜の高温は、夏バテの原因になるので注意します。植物は絶えず呼吸、同化、蒸散などを行っていますから、風があって葉の表面の空気が動いていることが必要です。これによって酸素や炭酸ガスの供給が行われ、水分の蒸散も順調になります。
土管理
根は呼吸、吸水、排せつ、伸長などを続けていますから、上の中の空気や水が新鮮であり、上が軟らかいことが望ましいのです。水はけのよい上に植え、毎日水やりをして古い空気や水を排除することは、根の健康維持の基礎になります。 また、病虫害のいない清潔な土を使うのが安全ですが、古い土でも消毒すれば大丈夫です。病虫害の発生を防ぐためには、同じ場所に同じ植物を植えずに、植物を替えることも大切です。
植物は生育している場所からすぐ逃げられない代わりに悪影響に対する大きな抵抗力をもつています。この力を日ごろから養っておくことも、栽培管理の重要なポイントになります。
根の強化 土の中に水があっても、その基が少ないと、根が吸水できません。ところが、日ごろ水やりを少なくして根を鍛えておくと、水の吸収力が強くなり、甘やかされている根が吸収できない状態の水も吸水できるようになります。
葉の強化
葉にとつて紫外線は刺激が強く、好ましいものではありません。しかし、これによって葉の表面が丈夫になり、病虫害の防除に非常に有効です。また、光、温度、水分などの条件が悪くなったとき、自衛する力がつきます。たとえば、寒さに弱い観葉植物などを、春から秋に紫外線に十分当てて丈夫にしておくと、冬越しが楽になります。
早期防除
病気でも害虫でも被害の少ないうちに発見し、防除すれば株が枯れるほどの大事にはいたりません。害虫は葉裏によくつきますから、水やりの際など普段から注意して観察することが必要です。異常を発見したら、被害部分を取り除き、その病害虫に適した薬剤を散布してください。
予防
植物が病虫害の被害を受けた場合、人間のようにもとの正常な状態に回復することはなく、悪化を止めることしかできません。したがって、子防が何よりも大切なのです。よい環境に置けば、それほど病虫害の発生は見られないものですが、心配であれば、発生する前に薬剤散布をしておくことです。丈夫な花木の場合には、石灰硫黄合剤を冬季に散布しておくと、非常に効果があります。害虫に関しては、上に施しておくと根から吸収されて1か月くらいは効力がある、アセフェー卜剤などの殺虫剤を散和しておけば、カイガラムシなどは別として、ほとんどの害虫を寄せつけません。
治療
病気が発生したら、その部分は取り除き、他への伝染を防ぎます。病虫害それぞれに特効薬があるのですが、個庭で全部をそろえておくのは難しいので、少々割高でも病気と害虫の両方に効く殺菌殺虫剤を1つ用意しておくとよいでしょう。たいていスプレー式になっていて調製の必要がなく、即座に使用できて便利です。
薬剤の種類と扱い方
家庭用薬剤は、病気を防除する殺菌剤、害虫を防除する殺虫剤、病気と害虫の双方に効果のある殺菌・殺虫剤に大別できます。種類によって幅広く効果のあるもの、効果は高いが対象幅の狭いものなどがあります。薬剤はその形態によって使用法が異なるので、ここではその扱い方について簡単に触れておきましょう。
スプレータイプ
殺虫剤と殺虫・殺菌剤があります。このタイプは液体がガスになる時に気化熱で冷たくなり、柔らかい茎葉を傷めることがあるので、30〜40m離して株全体に充分霧がかかるように散布します。
乳剤・液剤
いずれも液状なので、所定の濃度に薄めて散布します。水和剤・水溶剤 粉末なので、まず少量の水で溶かしてから所定の濃度に希釈します。なお、この種の薬剤には、薬の付着をよくする展着剤を併用したほうが、効果が高まります。
粉剤
家庭園芸用のものは容器が散粉器になっているので、対象物に薄く粉がつくように散布します。
粒剤・ベレット剤
そのまま葉や土の上にまきますが、指定量を大幅に超えると害が出ることもあるので注意します。
使用上の注意
水で薄めて使うタイプの薬剤は、規定濃度を守ることが大切で、濃いと薬害の出ることがあります。発生のひどい時も薬剤の濃度を濃くするのではなく、3〜7日の間をあけて数回散布しするようにし、また薄めた薬はその日のうちに使いきるようにします。
薬剤の散布はできるだけ風のない日に行いますが、マンション住まいの方や狭い場所で行う場合は大きめのビニール袋で囲って行なうなど工夫が必要です。
なお、2〜3種の薬剤を使う場合は、それらを混ぜて使うこともできます。しかし、薬剤同士の混合の可否、前に散布した薬剤との適合や散布間隔によっては薬害の出ることがあるので説明書は必ず読んでください。